メガネの賞月堂

「角膜の話」


角膜は透明な組織です。
光が網膜にまで到達するまでの間に、角膜・水晶体・硝子体を通過します。 このどれかに濁りがあっても、はっきりと見ることは出来ません。(水晶体が濁ったものが白内障です)
コンタクトレンズは角膜の上にのせます。この角膜は、主としてコラーゲンから成る厚さ約0.5oの組織で、全部で5つの層からできています。
角膜は構造上、外側から順に上皮・実質・内皮に分けられます。
角膜の表面にある上皮は涙におおわれて、細胞分裂を繰り返しながら早い周期で入れ替わっており、コンタクトレンズで傷が付いても、コンタクトを装用しなければ数日で回復します。

実質組織は角膜の骨組となる部分です。

角膜の一番内側にある内皮は一層の細胞シートで、角膜を透明に保つ役目をもっています。
「角膜を透明に保つ」仕組みは、この内皮細胞が角膜内に染み込んでくる水を汲み出すことによって維持されています。
角膜内皮細胞が常に水分を角膜内から汲み出しているので、角膜は透明性を維持できるのです。
もし角膜に水が溜まれば、すぐに角膜は濁ってしまいます。
角膜内皮細胞は、人が生まれて死ぬまで、数が増えることはありません。細胞分裂を行わないために、一度死滅した細胞は再生できません。
細胞の数はおおよそ2000〜3000個/ミリ平方といわれ、年齢とともに少しづつ減少していき、若い頃3000個/ミリ平方あった細胞も60才〜70才代になると2000〜2300個/ミリ平方にまで減少してしまいます。
そればかりか、怪我や手術など目に負担を与えると、細胞の減少はよりひどくなります。
これが1000個/ミリ平方以下になると角膜が白く混濁してしまい、視力にも影響が出てきます。
最近になって、コンタクトの長期常用による角膜内皮細胞の減少が問題になっています。
佐野眼科(賞月堂一宮店)においても20・30代でこの内皮細胞の減少が目立つケースがあります。
ほとんどがソフトコンタクトで、しかも薄型・張り付きタイプに目立ちます。

そこでマンスウエアやO2オプティクスの推奨となるわけです。
異物感は出ますが、最終的に感謝をされます。

角膜内皮細胞写真

コンタクトレンズ非装用者        コンタクトレンズ装用者
<コンタクトレンズ非装用者>           <コンタクトレンズ装用者>
上の写真は、角膜内皮細胞をスペキュラーマイクロスコープという特殊な顕微鏡で撮影したものです。
両者とも同じ年齢層です。
見て頂いて判ると思いますが、コンタクトレンズ非装用者の細胞は均整の取れた正六角形に近い形をしています。

コンタクトレンズ装用者の細胞は形も大きさもまちまちで数も少なくなっています。
これは、傷つけられ剥がれ落ちた細胞の場所に周囲の細胞が移動することで、細長い多角形に変形してしまった結果です。
コンタクトレンズの中でも酸素を通さないタイプのハードレンズは中止の方向にあります。
酸素を通さないハードレンズの装用による慢性の酸素不足が、角膜内皮細胞減少の原因とされているからです。
全てのソフトコンタクトレンズでも、同様の結果が報告されています。


コンタクトレンズは使用法を誤ると、
確実に角膜内皮細胞を減少させます。


           そうならないための、注意事項です
● 長時間の装用は避けましょう。 (帰宅したら眼鏡に!)
● ソフトコンタクトレンズは週1回お休みの日を作りましょう。
● 酸素透過性の高いハードレンズがおすすめです。
● 古く汚れたレンズは早めに交換してください。
● 使い捨てのコンタクトレンズは期限を守って延長させないで
● 装用時間の長い人、近視の度が強い人、乱視のある人はハードレンズが適切です。
● 最近は薄型ソフトコンタクトレンズが主流ですが、マンスウエアやハイドロゲルという
        新しい素材のレンズに切り替えを、おすすめします。

   コンタクトレンズは気が付かないところで、目にダメージを与えています。角膜内皮細胞への影響は、
   20年以上も経ってから結果が出てくるものです。

   最後に・・・

   コンタクトレンズが登場して20年以上は経過しているのに、なぜ今まで気が付かずにいたのでしょうか・・・

   コンタクトレンズの実験に使われるウサギは、内皮細胞が分裂して増えていきます。
   代謝機能の異なるウサギの実験から安全性が確認されていたからなのです。

  私たちの眼の内皮細胞は分裂して増殖しないことを知っておきましょう。


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