非常に慣れ難いメガネを作りました。
一宮店 野々村

人間はメガネを介して眼球で受取った情報を脳で見ているらしい。よって脳にとってこれまで経験したことの無い情報は異常と認識してそれを否定するようです。
つまりその見え方を排除してそのメガネを使わせないようにするのです。
ですから我々は脳のご機嫌をとるようなメガネ処方を取らざるを得ないのですが、今回はどうしても快適に見えるようにする為に敢えて脳にとっては未経験な情報を流します。
慣れにくいことを承知で…そのメガネを販売した経緯です。


メガネに慣れ難い要素をたくさん持ちあわされたお客様 56歳男性 M様。
他店で車の免許用で作られたメガネをお持ちでした。

主訴
「近くが見づらくて仕事にならん! 遠くも見えんし、やっぱり遠近両用が便利かな」
    「私(54歳)も遠近を使用していますが、これが無いと何も出来ない状態です」
    「では検査をさせていただきましょう・・・えー」
    「これまでどうやって仕事をされたのですか・・・少し悪すぎます」

片眼遮蔽検査
 右 0.5     (0.8)×S+0.00 C−1.00 180
 左 0.6     (0.8)×S+0.75 C−0.75 180

両眼開放検査
 右        (1.0)×S+0.00 C−1.00 180 2△BI 2.50
 左        (1.0)×S+0.75 C−0.75 180 2△BI 2.50
 なんと十字テストは完全に横棒の外まで外れます・・・これにはM様本人も驚きです。

処方決定
 右        (1.0)×S+0.00 C−0.75 180 2△BI 2.50
 左        (1.0)×S+0.75 C−0.75 180 2△BI 2.50

評価
装用テストではとても歩けない状況です。 座って見る分は良いのですが・・・・
また遠くはまっすぐ見れば良いのですが、少し横目を使うともう駄目です。
でも遠近とも見えるという喜びはありがたい・・・・でも慣れるのでしょうか?
またこれまで両眼でモノを見た感じではなく、遠くは右目で近くは左目を中心に見てました。
よって両眼で協調した見え方ではないために非常に疲れやすかったようです。
根気が続かない・まぶしかった・・・など、どんどんと 実は・・・という話が出てきました。
外斜位ということを始めて知らされて・・・・これまでの生活で・「そういえば何かおかしかった」
と言う理由が納得されたようです。

提案
非常に慣れ難いメガネを提案させていただきます。 慣れ難い5点理由
遠近両用メガネが初めてなので周辺部が歪んで見えます。 両面累進の高級レンズにしてください。
右が遠視系乱視で左が近視系乱視。  右目と左目で大きさが異なります。
加入度が2.50とかなり強い。   遠近は強くても+2.00位までで押さえるのです。
外斜位で4プリズムの処方。    斜めに見ると色が付いて見えたり歪んで遠近感が狂います。
今回レンズのみで6万円という支出と慣れにくさで腹が立つでしょう。
今回は値段が高いので現在使用の枠をそのまま再利用させていただきました。
仕上がりまでメガネを預かることが出来ないのでパソコンで形とサイズを計測してレンズをカットしておきます。
来店されたら10分で入れ替えが出来ます。


結局最も周辺視野の広いレンズにしていただきました。

さーこれでお慣れいただけるでしょうか?

お渡し時点
「おー見える(^^) 遠くも近くも  確かに横目が利きにくいね」
座った状態から歩いていただきます。
「おーこれか  笑 確かに怖いね・・・うーん」

それから一週間後
心配でしたが本日ご来店。
ひょっとして慣れにくいから3ヶ月以内の度数交換かと思ったのですが・・・・
なんとか使いこなしているとのことです。
ただデスクワークで周辺部がどうしても見づらい!
なんとかならないか!
そこで中近両用を仮枠で体験いただくと
「おーこれは見やすい」
    「でも遠くは見づらいですよね」
「そうだな・・・」
    「もっと早くから遠近両用を掛けていたら・・・もう少し見やすくなったのですが・・・」
「しばらく使ってどうしても駄目ならもう一本作るよ・・・」

総括
50代後半では一つのめがねですべてを満足させようと言うのは無理です・・ということ。
またその時のそれぞれの度数に微妙に違いを出してお客様の笑顔に接すること・・・。これこそ眼鏡屋冥利と言えましょう。



メガネの販売記
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