vol.31 メガネフレームを拭く事へのこだわり。


 
 私はこの世界に入って今年で24年を迎えます。
周りの人たちに助けられ何とかここまでやって来た感じで、
感謝の気持ちで一杯です。
新人の頃から先輩の教えや、お客様からのお叱り、後輩から教えられる事は
今も尚続いています。

これまで教えて頂いた幾つかの事柄で、私のこだわりとなっている事のひとつに
「メガネフレーム拭き」があります。
このフレーム拭きは、私たちが販売する商品なのですから、
常にきれいにしておく事は当然の事です。
しかし、恥ずかしながら若い頃はメガネ拭きを率先しては行っていませんでした。
検眼し、メガネを作り、お渡しする事の重要性は分かっていましたが、
販売前のフレームを常に良い状態にしておく事は
気にも留めていなかったのです。

ある日、年配のご婦人にフレーム販売をしていた時の事です。
ひとつのフレームに決まり、レンズの説明に入ろうと思った瞬間こう言われました。
「このフレームを使うの?」「新しく出してきて下さるのよね。」
「いえ、このフレームで作らせていただきます。」
「えっ!これはサンプルではないの?」
その当時店頭の商品を販売する事は当然の事だと思っていましたので、
私にはこの言葉が衝撃的でした。
確かに職種によっては店頭で商品を決め、決まった商品と同じものを
裏から持ってくる所があります。
化粧品もそうですし携帯電話もそうです。お客様の中には同様に感じている方が
他にもいらっしゃるはずだと感じました。

店頭のフレームは、仕入れてから販売するまで何人かのお客様が掛けられます。
入荷してすぐに売れる商品もあれば、一定期間かかる商品もあります。
このお客様の言葉を聞いて以来、店頭の商品は常に“新品”にしておく
必要があると強く思いました。
それからメガネフレーム拭きが私の日課になったのです。

今でも、私はスタッフとともに毎日メガネフレーム拭きをしています。
それは私たちにとって当然の仕事なのです。



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